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文とか絵とかのブログ。パロとか、けも耳とか色々遠慮なく上がります。
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犬神竹谷と犬神憑き久々知の続き書けましたー。
ひとまずハチを竹谷にしよう計画完遂です(笑
しかし竹谷がとっても残念な感じに...特に兵助バカ的に残念な感じになってるので、かっこいい竹谷じゃなきゃ認めない!って方はご注意ください;
そしてきっとこれから更に残念な話しになっていくよ...(乾笑

まだまだ続きそうなので、今度暇を見て一つの記事件名にまとめて、HTMLでとべるようにしたいと思います;記事分かれてると読みづらいですよね;すみません;

ところで昨日友人達からこれを本にして売れという指令を受けました...無茶言うな...。
しかも「本にしたら手ブロで描いた絵を清書して色塗ってやってもいい」というそんな脅しも受けました...。
なんだこのどSコンビめ...本は出さんが色は濡れ...いや、塗ってください(弱気
誰得って何言ってるんだ。あたしだよっ!!!←

そんな優しい友人達に支えられてこの話しは出来上がっています´∨`




・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



優しく暖かい腕に包まれまどろむ幸福感

ふわり ふわりと

まるで春のあたたかな日の射す空の上

雲の中で居眠りをしているかのような気持ちになる

目を覚ますのがもったいなくて

兵助はいつもその腕の中の幸福をできるだけ長く感じていたくて

こっそり眠った振りをした

優しくあたたかい母のその腕で





それはとても懐かしい思い出...



そこで兵助の意識が一気に浮上して、ぱちりとその大きな目を見開いた。
もう十を過ぎた年の兵助は母の添い寝から卒業して久しい。
かれこれ5,6年は母に添い寝などしてもらった覚えは無いし、いや、そもそも昨夜兵助は久々知の家を一人後にしたではないか...
今目の前に母の姿などある訳も無い。
自らの見せる願望から来る夢だったかと、一気に現実に引き戻された。
もはや戻れない『家』を想い、じわりと目を僅かに潤ませたその時。
「おきたか」
頭の上から、辿々しく話す低い男の声がした。
覚えの無い声に兵助は驚いて飛び起き、その場から急ぎ離れる。寝ている間に良くない輩に取り囲まれたか...
「ハチ!...ハチ!!」
一緒に居るはずの犬の名を呼び、今まで自分が居た所でゆっくりと起き上がる人間に目を向けた。
そこには体の引き締まった凛々しい顔つきの若い男が居た。
こんな男に襲われたら逃げ切れない...
とりあえず一晩雨風を凌げる所にと、見つけた無人の社に入り込んだが。
やはり山の中の無人の社など無法者の寄る場所であったかと後悔する。
先程から目の前の男からできるだけ目を離さないよう、犬の名を呼び姿を探すのに。どこにもその姿が見えない。
「ハチ!!ハチどこに...」
「おれだよ、おれ」
もの凄い不安感に、声が裏返るのも厭わずその名を叫んだ時だった。
目の前の男が、その兵助が呼ばわる声に続いて言った。
言う意味が分からず、きつく眉間にしわを寄せて男を凝視する。
「...誰?」
「だからおれ。おれ、おれ」
その台詞を駆使して他人の財産を詐取しようとする不逞の輩が流行るのは、これから数百年後の事である。
なので兵助はそんな事を知る由もないが。
しかし名を名乗らず顔も知らない人間を不審に思うのは、いつの世でも変わらない。
全身でもって警戒心を露わにしている兵助に対し、けれど男は襲ってくる訳でもなくただその場に、にこにこと人好きのする笑顔で座っている。
ここにきて少しずつ冷静さを取り戻した兵助に、思考能力も少しずつ戻ってきた。
男の言葉に自分を知っているニュアンスを感じ取り、覚えていないだけなのかと思って記憶をたどってみるが。
しかしどうしても見た記憶は取り出せない。
そう、顔については。
ただその髪の毛がどうにも気になった。
ごわごわぼさぼさと触り心地の悪そうな灰色のその髪...。
どうもどこかで見た事があるような気がする...
「......ハチ...?」
いやでもまさか...。
しかしその疑問に反して、目を合わせて呼ばれたその名前に目の前の男は心底嬉しそうに笑み崩れた。
そして兵助が身構える余裕もなく、素早い動作で兵助の体を抱き寄せて頬擦りをする。
「!?!?!?」
その突然の行動に驚いて、一瞬状況が飲み込めずに兵助は再びかたまってしまったが...。
抱きしめられた兵助の視界が男の首元でいっぱいになり、その目線があるものを捉えた。
首をぐるりと巻いた一筋の
それにこわごわ指先で触れると、微かに突っ張り盛り上がった人の肌の感触がした。
「...本当にハチなの...?」
眠るまでは確実に犬の姿をしていたのに...。
まるで犬が甘えるように、兵助の髪に鼻先を埋めてうっとりと匂いを嗅ぐような仕草をしていたが、兵助の問いかけに顔を離して満面の笑みを浮かべる。
「おう!へーすけ、さむそうだなっておもって、あっためたいっておもったら、こうなった」
青年と言ったくらいの年頃のその凛々しい見た目とは裏腹に、話す言葉はなんだか辿々しく、そこからも人の言葉を使う事に慣れていないという印象を受けた。
にこにこと嬉しそうに楽しそうにそう話す彼に、外見的には兵助より余程年上なのだが、思わず犬の姿のハチにいつもやってやるように頭を撫でてしまう。
そうして髪を触って実感した。
—確かにハチだ
ごわごわとして硬く、決して触り心地がいいとは言えないのに、何故か安心するこの感触...。
犬であるハチに対しての不満など、もちろんこれっぽっちも無い。
全てを犠牲にしてでも側に置く事を選んだその命だ。不満などあろうはずもない。
しかし。
やはりこうして抱きしめて話しをしてくれる存在が居る事が、どれ程心強いか...。
嬉しくて嬉しくて、兵助は言葉にならず無言でハチに抱きついた。
ぎゅうっとしがみつくと、ハチもその全身でもって抱きしめ返してくれた。
やはり兵助は十を過ぎたばかりの子供で、突然に独り『家』から放り出されて不安にならない訳がない。寂しくならない訳がない。
全身を包み込む自分よりも高い体温に、心の底から安心感と充足感を覚えた。
ハチが生きていてくれてよかった...。
今までいつも一方的に兵助が話すのを聞いてもらうばかりだったが。
これからはハチの事も聞けるのだ。ずっとずっとそうしたいと思っていた。
それを伝えようと顔を上げたその時。

扉に開いた明かり取りから中に朝日が差し込んだ。その光に気付いて顔を上げれば、ようやくそこで夜が明けた事に気がついた。
その様子を何となく見つめていると、段々と社の中全体に陽の光が差し込んできて。
そうして二人の体にもその温もりが感じられた...その時。
兵助の手に触れていた感触が突然萎んだように感じられて、そのおかしな感覚にびくりと体を震わせ振り返ると。
そこには先程まで居た男の姿は無く、見覚えのある犬の姿があった。
「!?!?!?え...?」
突然の出来事に、驚きのあまりまたしても状況が飲み込めず目の前の犬の姿を凝視する。
そして当の本人もその状況を理解できていないらしく、きょとんとその丸い目で兵助を見つめてくる。
「何で...?」
「もどった」
分からず聞いてみれば、犬の口から言葉が出た事に更に驚いた。
「え、話せるの...?」
「ちっと」
先程の人の姿の時も話し方は辿々しかったが、犬の姿の今は余計に話しづらいらしく拙い単語しか話せないらしい。
『戻った』という事は、ハチの意思ではなく勝手に犬の姿に戻ったという事だろうか...。
そういえば朝日が当たった途端に犬の姿に戻った気がする...考えてみればハチは犬神になったのだから、あやかしの存在となったという事になる。
とすれば日の光でその妖力が保てなくなったか...それが確かなら、また夜には人の姿になる?
一人で物思いに耽っていると、膝の上に前足で乗られ顔を覗き込まれた。
その仕草に思わず頬が緩む。
考えた所で確かな事など何もわからないのだ。全てはまた夜になれば分かるだろう。
兵助は肩の力を抜いて、置いていた荷を引き寄せた。
家を出る時に持たされた荷物には、日持ちのする食料と、子供が持つには十分な程の金子が入っていた。
贅沢な事をしなければ、兵助とハチが生きる分には当分それだけでまかなえる程で、改めて久々知の家に感謝せずに居られない。
「いただきます」
食料をハチと分け合って、兵助は居住まいを正して手を合わせる。
まだまだ今まで世話になった町からは近い。もっと遠くへ行かないと...。
しかし昨日家を後にした時程の憂いは薄れていた。

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