文とか絵とかのブログ。パロとか、けも耳とか色々遠慮なく上がります。
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犬神パロの続きです。
下の記事から続いてます。
兵助がとってもヤンデレてる感じになってます;
前回でも言いましたが、R15は暴力表現ですので、苦手な方はくれぐれもご注意ください!
ちょっと長くなったので、また分けました^^;
次回で終了します。
続きは近いうちに!!
下の記事から続いてます。
兵助がとってもヤンデレてる感じになってます;
前回でも言いましたが、R15は暴力表現ですので、苦手な方はくれぐれもご注意ください!
ちょっと長くなったので、また分けました^^;
次回で終了します。
続きは近いうちに!!
本を見つけてから数日後の夜。
兵助は家人が皆寝静まったのを確認して、こっそりと屋敷を抜け出した。
家の土間で休むハチに、家人に気付かれないよう声をかける。
低く囁く兵助の声に、寝入っていたハチは一度で目を覚ました。
病気の影響で気怠げに、けれどしっかりと兵助の顔を見上げるハチに、付いておいでと声をかけると、ゆっくりと体を起こして静かに兵助の後を付いてきた。
向かう先は、屋敷の裏手敷地内の奥にある蔵である。
久々知家には蔵が2つあり、一つは代々受け継がれた武具やら工芸品やらが収められた大きな棟。
もう一方は使用人達が使う為の日常道具をしまっておくための、いわゆる道具置き場用の小さな棟。
大きな蔵は、入っているものが高価であるため常に頑丈な鍵がかけられているが、小さな蔵の方は特に盗られて困るようなものは置いていなかったため、鍵などは設えられてはいなかった。
兵助はハチを連れ、小さな蔵の方へ行き、その扉に手をかけた。一瞬、ぴたりと無意識に手が止まったがすぐに音を立てないよう慎重に扉を開く。
元々が蔵である為に、明かり取りの窓は小さい。
たとえ月が出ていようと、蔵の中は暗く、兵助の目には蔵の中がどのようになっているのかただ物の影が暗く黒く見えるだけだった。
物置小屋として使っているだけに、内部は要らぬ雑多なものと箒やら植木鋏やらの道具類が無造作に置かれ、酷く狭く感じた。
何一つとして見通せぬようなその闇に、物怖じしたかのように動けなくなってしまった兵助の指先に。
ふと柔らかく暖かいものが触れて、兵助はびくりと肩を震わせた。
慌てて視線を指先に落とすと、足下でハチがこちらを見上げていた。きっと今指先に触れたのはハチの鼻だったのだろう。
その乾いた感触に、息が苦しくなる程のあの焦燥感が再び沸き上がる。
そしてそんな兵助の思いに反応するように、手に持っていた包みから、かさりごそりと何かが蠢くような音がした。
そうだやらなければならない。やらなければハチは自分の元から去ってしまう。死んでしまう。
それを思うだけで体は硬直して身動きもできない。耐えられるはずも無い。
緊張からか、からからに乾いて張り付く喉を唾を飲み込むことで不快感をやり過ごそうとするが、どくどくと激しく脈打つ心臓のせいで、喉が詰まったようにうまく飲み込めない。
ハチの命を取るか。今の自分の平穏を取るか。
そんな事、秤にかけるまでもないではないか。
一瞬、ぎゅっと強く目を閉じて荒くなった呼吸を深呼吸する事で押さえつけ、そして兵助はハチと目線を合わせる為にしゃがみ込んだ。
「...ハチ」
かすれきった声で名を呼ぶと、ハチはまっすぐこちらを見返す。
「これから、私はお前に酷い事をする。どうしてもお前を無くす事に耐えられないんだ...。全部私のわがままで、それだけの為にお前に辛い思いをさせる事が最低なんだという事も分かってる...。それでも、どうしてもお前を無くせない。怖くて仕方ない。」
言いながら、ボロリ、ボロリと涙が落ちる。
詰まりながらも話す兵助の顔を、ハチは黙って見つめている。
「お願いだ、ハチ...お願い...死なないで...一人にしないで...お願いだから...」
最後には懇願になったその言葉と共に、涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。
服が汚れるのも厭わず、地面に膝をついて蹲る兵助に。
ハチが鼻先を強く押し付けた。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると、べろりと顔をなめられた。
ハチは賢い犬だから、きっと兵助の言っている事を理解しているだろう。
それでも、泣き崩れる兵助を心配するように何度も顔を舐めてくるハチに、兵助はしがみついた。
無くせない。ハチだけはどうしても。
一度ぎゅっと強くハチの体を抱きしめて、兵助は立ち上がった。
見上げるハチを蔵の中に入れ、さらに手に持った包みをハチの脇に置く。
包みがカサカサと主張するようにまた鳴った。
「ハチ...死なないで...生き残って...何をしても良い。とにかく生き残ってくれ...」
流れ続ける涙を拭う事もせず、まっすぐにハチの目を見つめて、そう告げた。
脇に置いた包みの口を解くと、つづらが顔を出す。
がさごそ鳴る音が大きくなる。中にあるものが、今か今かと解放を待つような、そんな不吉な音。
何かを感じ取ったのか、ハチが耳をぴくりと震わせ、そちらを見る。
つづらの蓋に手をかけ、一気に開けると、兵助は蔵を飛び出した。
その視界の隅に、つづらの中身とハチの姿を捉え、そしてそのままハチを蔵の中に置き去りにしたまま。
扉を閉じた。
閉じた扉に背をつけて、ずるずると座り込む。
中からハチの鼻を鳴らす音と、かりかりと扉を掻く音が聞こえた。
しかし兵助は扉を開かない。
それどころか扉に向き直って全身でもって開かないよう押さえつけた。
がさりがさりとつづらの中身の立てる音が聞こえる。
その音で最後に視界に入ったものが兵助の脳裏に蘇った。
ここ数日で兵助が集めた、大量の蟲や鼠。
集めた後に、それらには一切餌を与えていない。
きっとそれらは飢えきっている。
かりかりと扉を掻く音が止み、代わりに低く唸る音が聞こえ始める。
「...ふっ」
その声に、とうとう兵助は堪えきれなくなった。
次から次に溢れ出る涙と一緒に漏れる嗚咽。
「ハチ...ハチ...」
合間合間にハチの名を呼び
「ごめん...ごめんハチ....ごめん...」
手から血の気が無くなり白くなる程に強く扉を押さえつけ、中で激しく唸り暴れる音を聞きながら、兵助は小さく謝り続ける。
ごめん...ごめんと
なんども、ただひたすらに
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
普段目が覚めぬような時刻に、兵助の母は何かに呼ばれたような気がして目を覚ました。
未だ外は暗く、頃合いとしては夜が明けるまでまだ数刻はあろう。
布団の中で辺りに気を遣ってみたが、自分を呼ぶものなどありはしない。
気のせいであったかと再び目を閉じるが、なんだか酷く胸騒ぎを覚えて眠る事ができない。
気を落ち着かせようかと、水を飲みに月明かりが照らす廊下を土間へと向かう。
一口水を飲んで一息ついた所で気がついた。
ハチの姿がない。
一人で逃げ出すというような行動もとった事のない犬だ。それならばと思い、何気なく兵助の部屋へと向かった。
きっと兵助が自分の寝所へと連れ込んだに違いない。
そういった事なら以前から度々あった。
見つけた所でどうという事でもないのだが、何かこの時はハチの姿を確認せずに居られなかったのだ。
なぜか逸る気持ちを抑えるように、殊更ゆっくりと兵助の寝所へ向かう。
しかし、いざ障子を開けたその部屋に兵助の姿は無かった...。
兵助は家人が皆寝静まったのを確認して、こっそりと屋敷を抜け出した。
家の土間で休むハチに、家人に気付かれないよう声をかける。
低く囁く兵助の声に、寝入っていたハチは一度で目を覚ました。
病気の影響で気怠げに、けれどしっかりと兵助の顔を見上げるハチに、付いておいでと声をかけると、ゆっくりと体を起こして静かに兵助の後を付いてきた。
向かう先は、屋敷の裏手敷地内の奥にある蔵である。
久々知家には蔵が2つあり、一つは代々受け継がれた武具やら工芸品やらが収められた大きな棟。
もう一方は使用人達が使う為の日常道具をしまっておくための、いわゆる道具置き場用の小さな棟。
大きな蔵は、入っているものが高価であるため常に頑丈な鍵がかけられているが、小さな蔵の方は特に盗られて困るようなものは置いていなかったため、鍵などは設えられてはいなかった。
兵助はハチを連れ、小さな蔵の方へ行き、その扉に手をかけた。一瞬、ぴたりと無意識に手が止まったがすぐに音を立てないよう慎重に扉を開く。
元々が蔵である為に、明かり取りの窓は小さい。
たとえ月が出ていようと、蔵の中は暗く、兵助の目には蔵の中がどのようになっているのかただ物の影が暗く黒く見えるだけだった。
物置小屋として使っているだけに、内部は要らぬ雑多なものと箒やら植木鋏やらの道具類が無造作に置かれ、酷く狭く感じた。
何一つとして見通せぬようなその闇に、物怖じしたかのように動けなくなってしまった兵助の指先に。
ふと柔らかく暖かいものが触れて、兵助はびくりと肩を震わせた。
慌てて視線を指先に落とすと、足下でハチがこちらを見上げていた。きっと今指先に触れたのはハチの鼻だったのだろう。
その乾いた感触に、息が苦しくなる程のあの焦燥感が再び沸き上がる。
そしてそんな兵助の思いに反応するように、手に持っていた包みから、かさりごそりと何かが蠢くような音がした。
そうだやらなければならない。やらなければハチは自分の元から去ってしまう。死んでしまう。
それを思うだけで体は硬直して身動きもできない。耐えられるはずも無い。
緊張からか、からからに乾いて張り付く喉を唾を飲み込むことで不快感をやり過ごそうとするが、どくどくと激しく脈打つ心臓のせいで、喉が詰まったようにうまく飲み込めない。
ハチの命を取るか。今の自分の平穏を取るか。
そんな事、秤にかけるまでもないではないか。
一瞬、ぎゅっと強く目を閉じて荒くなった呼吸を深呼吸する事で押さえつけ、そして兵助はハチと目線を合わせる為にしゃがみ込んだ。
「...ハチ」
かすれきった声で名を呼ぶと、ハチはまっすぐこちらを見返す。
「これから、私はお前に酷い事をする。どうしてもお前を無くす事に耐えられないんだ...。全部私のわがままで、それだけの為にお前に辛い思いをさせる事が最低なんだという事も分かってる...。それでも、どうしてもお前を無くせない。怖くて仕方ない。」
言いながら、ボロリ、ボロリと涙が落ちる。
詰まりながらも話す兵助の顔を、ハチは黙って見つめている。
「お願いだ、ハチ...お願い...死なないで...一人にしないで...お願いだから...」
最後には懇願になったその言葉と共に、涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。
服が汚れるのも厭わず、地面に膝をついて蹲る兵助に。
ハチが鼻先を強く押し付けた。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると、べろりと顔をなめられた。
ハチは賢い犬だから、きっと兵助の言っている事を理解しているだろう。
それでも、泣き崩れる兵助を心配するように何度も顔を舐めてくるハチに、兵助はしがみついた。
無くせない。ハチだけはどうしても。
一度ぎゅっと強くハチの体を抱きしめて、兵助は立ち上がった。
見上げるハチを蔵の中に入れ、さらに手に持った包みをハチの脇に置く。
包みがカサカサと主張するようにまた鳴った。
「ハチ...死なないで...生き残って...何をしても良い。とにかく生き残ってくれ...」
流れ続ける涙を拭う事もせず、まっすぐにハチの目を見つめて、そう告げた。
脇に置いた包みの口を解くと、つづらが顔を出す。
がさごそ鳴る音が大きくなる。中にあるものが、今か今かと解放を待つような、そんな不吉な音。
何かを感じ取ったのか、ハチが耳をぴくりと震わせ、そちらを見る。
つづらの蓋に手をかけ、一気に開けると、兵助は蔵を飛び出した。
その視界の隅に、つづらの中身とハチの姿を捉え、そしてそのままハチを蔵の中に置き去りにしたまま。
扉を閉じた。
閉じた扉に背をつけて、ずるずると座り込む。
中からハチの鼻を鳴らす音と、かりかりと扉を掻く音が聞こえた。
しかし兵助は扉を開かない。
それどころか扉に向き直って全身でもって開かないよう押さえつけた。
がさりがさりとつづらの中身の立てる音が聞こえる。
その音で最後に視界に入ったものが兵助の脳裏に蘇った。
ここ数日で兵助が集めた、大量の蟲や鼠。
集めた後に、それらには一切餌を与えていない。
きっとそれらは飢えきっている。
かりかりと扉を掻く音が止み、代わりに低く唸る音が聞こえ始める。
「...ふっ」
その声に、とうとう兵助は堪えきれなくなった。
次から次に溢れ出る涙と一緒に漏れる嗚咽。
「ハチ...ハチ...」
合間合間にハチの名を呼び
「ごめん...ごめんハチ....ごめん...」
手から血の気が無くなり白くなる程に強く扉を押さえつけ、中で激しく唸り暴れる音を聞きながら、兵助は小さく謝り続ける。
ごめん...ごめんと
なんども、ただひたすらに
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
普段目が覚めぬような時刻に、兵助の母は何かに呼ばれたような気がして目を覚ました。
未だ外は暗く、頃合いとしては夜が明けるまでまだ数刻はあろう。
布団の中で辺りに気を遣ってみたが、自分を呼ぶものなどありはしない。
気のせいであったかと再び目を閉じるが、なんだか酷く胸騒ぎを覚えて眠る事ができない。
気を落ち着かせようかと、水を飲みに月明かりが照らす廊下を土間へと向かう。
一口水を飲んで一息ついた所で気がついた。
ハチの姿がない。
一人で逃げ出すというような行動もとった事のない犬だ。それならばと思い、何気なく兵助の部屋へと向かった。
きっと兵助が自分の寝所へと連れ込んだに違いない。
そういった事なら以前から度々あった。
見つけた所でどうという事でもないのだが、何かこの時はハチの姿を確認せずに居られなかったのだ。
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