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文とか絵とかのブログ。パロとか、けも耳とか色々遠慮なく上がります。
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久しぶりにシリーズじゃないものを書いてみましたー^^
今日仕事の帰りに突発的に浮かんだネタ 笑
竹谷に甘やかされる久々知って言うのが書きたくて^^;
そんな話しです...たぶん...ちゃんと書けてれば...;
↑ちょっと途中で迷走したので不安(笑






人間なのだから、誰しも好不調の波というのはあるだろう。それは体に限らず気持ちの上でも。
どんな熟練した人間でも心ある限り生きている限りは逃れられぬものだろうと思う。
そしてこの日は、朝起きた時から俺にとって『そんな』日だった。

どうも朝起きた時から気持ちがすっきりしない。心当たりも無いのにもやもやと何かがつかえている気がする。何だか心なしか手足も重い。心と体は切っても切り離せないとはよく言ったものだと思う。
常に比べて僅かに重い体にむち打って、もそもそと布団から這い出ると、同室の勘右衛門に声をかけられた。
「兵助、何か怠そうだな。具合でも悪いのか?」
てきぱきと身支度を整え髪を結う勘右衛門の横で、衣を替え続いて同じく髪を結い上げようと櫛を取る。
「いや、そういう訳じゃない。大丈夫だ」
事実体調が悪い訳でもないし、何があった訳でもない。説明するような事でもないから安心させるように笑みを返す。
「そう?」本人がそう言うのならと引き下がりながらも、こちらを気にかける勘右衛門に苦笑して纏め上げた髪に結い紐を巻き付け——
ようとするのにどうにも緩んでうまくいかない。いつもならあり得ない自分の手つきに焦れていると見かねた勘右衛門が代わってくれた。

そんな朝で始まった一日だった。

そんなだから何か気もそぞろで、つまらなくてくだらない失敗もいくつかしでかした。
まずは教科の時間。先生が板書した内容を書き写すも誤字脱字のオンパレードで、あげくちらりと覗いた勘右衛門に「独自の暗号文でも使ってるのか?」と言われた。そんな訳は無い。
それから実技の時間。札取りサバイバル中に後ろから追われて駆けながらそちらに気を遣った瞬間に、目の前に張り出した枝に気付かず顔から突っ込んだ。もちろん札は取られた。
顔のあちこちに切り傷をこさえてしまったため、授業後に塗り薬でも貰おうと保健室へ行けば、善法寺先輩に「そんな事あるよねぇ...お互い気をつけないとね」と哀愁漂う目で見られた。先輩に対して失礼だとも思うが一緒にしないで欲しい...。
そして委員会の時間。棚に並ぶ火薬の棚卸しをやっていたのだが最終的に数が合わなくなった。なので再度数え直すと、今度は合わないだけでなく更に先程出た数とも違う。そうしてハマり込んだ俺に、手元の棚卸表を横からひょいと覗き込んだタカ丸さんが指差して言った。
「あ、そこ一個ずれてるよ〜」
その後数え直した数は実数とぴたりと合って、「大丈夫?兵助くん疲れてない?もう少しだから頑張ろうね〜」と励まされた。...タカ丸さんにだ...。

そんな調子で過ごした一日で、朝に増して更に気分は沈んだ。
いちいち起こすくだらない失敗に対する落ち込みもそうだが、何よりそれらに一々気を落ち込ませる自分に対して。
どんな熟練した忍びでも、人間である限りは無意味に落ち込みやすい日というものはきっとある。だがそれにどううまく折り合いを付けるか。
きっとそこが『違い』なのだ。
だから折り合いを付けられずに失敗を重ねて、それにいちいち気を遣ってしまう自分の未熟さに落ち込んで。そしてその落ち込んだ事に対して器の小さい事だとまた落ち込む。

挙げ句の果てに、夕飯に出た冷や奴にソースをかけた...最悪だ...

タカ丸さんの言う通り、疲れているのかもしれない...こんな日はもう早く寝てしまおう...。
そう思って溜息を吐きつつ自室へ向かう途中に通った、ろ組長屋から名を呼ばれた。
見ればそこは八左ヱ門の部屋で、戸が閉まっているというのになぜ自分だと分かったのかと戸惑い足を止めていると重ねて名を呼ばれた。
「兵助だろ?ちょっと寄ってかないか」
正直気が沈んでいるせいで人と話しをするような気分ではなかったが、やはりなぜ自分だと分かったのか気になったし、相手が八左ヱ門だと言う事で思い直しその戸に手をかけた。
開けた先では八左ヱ門が敷いた布団の上で胡座をかき本を広げていた。
見下ろす俺に、にやりと笑ってみせて持っていた本をばさりと脇に放る。
「随分男前になったな」
八左ヱ門の向かいに座ると、顔を見て笑われる。きっと今日一日の俺の様子を勘右衛門からでも聞いたのだろう。
「うるさい」
むっとしてそう返せば逆に面白げに笑われた。
「さっきもお前気配が漏れてたぞ。何かあったのか?珍しい」
しかしその後で穏やかに言われた言葉に思わず顔を上げれば柔らかく笑む八左ヱ門の顔があった。その顔に、張りつめていた気が一瞬緩みかけるが慌てて取り繕う。
何があったも何も、朝起きたら何やら気分が落ちていて、それのせいで失敗を重ね重ねて更に落ち込んでいるなど。
そんな事みっともなくて言えたものではない。
「...いや、なんでもない。少し疲れてるんだろう、一晩寝れば落ち着く」
「...ふうん」
俯いて微笑み言えば、八左ヱ門は吐息のような短い返事をして。
そして膝の上で握った手を、その大きく節張った手で強く握られ、力任せに引かれた。
突然の事で咄嗟に対応ができずに、そのまま体勢を崩して八左ヱ門の胸に倒れ込むと、動きを封じられるかのように抱きしめられた。
驚いて文句を言おうと口を開きかけるその前に。
ぎゅーっと抱きしめられて額に優しく唇を落とされた。
そして背中に回った大きな手がポンポンと優しく背を叩く。
ぽんぽんと。
鼓動と同じリズムで優しく柔らかくリズムを刻む。その手から、額に感じる唇から、包み込む全身から八左ヱ門の体温を感じて。
その温度にじわりととかされる気がした。
だから今度は自分よりも厚みのある体にしがみつく。ぎゅっと力一杯しがみついて。

体から不要な力が抜けていくのを感じながら、ふ...と緩く長く息を吐いた。

明日は大丈夫...。きっと大丈夫...。
そんな気がした。

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